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映画の知識ほぼゼロの20代女性が1日1本映画を感じたままにレビューしていくブログです。諸先輩方ご指導のほどよろしくお願いします!

映画レビュー 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』│繊細な心理描写と強かな目

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こんにちは、管理人のじゃこです!
記念すべき第1回目のレビューは2021年アカデミー賞監督賞受賞作『パワー・オブ・ザ・ドッグ』です!
予告を見ると一見荒っぽい西部劇のように見えますが、主演のベネディクト・カンバーバッチが魅せる繊細な心理描写が後々になってじっくり分かってきます。
そしてよく見返すとかなり伏線がちりばめられているのでピースが繋がるとスッキリする作品でした!


  • フィルの秘密はピーターに握られていた

  • ピーターは緻密に計画を進めていた

  • 監督がタイトルに込めた意味とは?

  • 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

    原題: The Power of the Dog

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    『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ポスター

    youtu.be


    代表スタッフ陣

    監督:ジェーン・カンピオン
    脚本:ジェーン・カンピオン
    製作:ジェーン・カンピオン
    ターニャ・セガッチアン
    エミール・シャーマン
    イアン・カニング
    ロジェ・フラピエ
    出演者:ベネディクト・カンバーバッチ(フィル)
    キルスティン・ダンスト(ローズ)
    ジェシー・プレモンス(ジョージ)
    コディ・スミット=マクフィー(ピーター)
    ほか

    受賞歴

    2022年 第94回 アカデミー賞 監督賞
    2022年 第79回 ゴールデングローブ賞 最優秀作品賞(ドラマ) / 最優秀助演男優賞 / 最優秀監督賞
    2021年 第78回 ヴェネツィア国際映画祭 銀獅子賞(最優秀監督賞)
    2021年 第47回 ロサンゼルス映画批評家協会賞 撮影賞
    2021年 第75回 英国アカデミー賞 作品賞 / 監督賞

    各映画レビューサイトの評価

    映画.com 3.6/5.0
    Filmarks 3.8/5.0
    IMDb 6.9/10.0
    Rotten tomato TOMATOMETER(映画批評家)  93%
    AUDIENCE SCORE(一般視聴者)  76%

    批評家からの評価は高い傾向のようです。

    あらすじ

    舞台は1925年のモンタナ州
    聡明だが威圧的で皆から恐れられているフィルは、弟のジョージと2人で牧場を経営していた。突然ジョージが未亡人と結婚をし、妻ローズとその息子ピーターが家にやってきた。
    気に食わないフィルは2人に酷いいびりをするが、ある時を境にピーターに好意的になる。
    ピーターを通してフィルが気づいたこと、そしてピーターが企てていたこととは...?

    個人的評価

    私個人の評価は 3.8/5.0でした!

    感想・考察

    ネタバレを含みますので、まだ読みたくない方はご留意ください


    『さすがアカデミー賞受賞作、壮大な舞台の中で繰り広げられる心理描写が繊細!』と超初心者は手放しで褒めてしまいます。
    荒々しい西部劇なのかと思っていましたが、そんな事はなかったですね。

    フィルの心理描写

    前半は紙で花を作るピーターの事を「女らしい」と軽蔑するフィルに嫌悪感を抱いていましたが、後半はピーターに心を許し色んな事を教えていく様に驚きました。


    フィルがピーターに好意的になりロープを作ってあげると言ったシーンだけは何度見返しても何故急に好意的になったのか分かりませんでした

    フィルは1人で川で水浴びしているシーンでは「出ていけ クソ女」とピーターに対して叫んでいます。
    少なくともこの瞬間まではピーターに対してよく思っていなかったことが分かります。

    ですがその数秒後には次のチャプターに移ってしまい、フィルの心情の変化の流れが掴むことが出来ません。

    川でフィルとピーターが遭遇する前、フィルは股間から取り出した白い布でナニかを行い、ピーターは秘密基地のような場所でブロンコの名前が書かれている男性の裸の写真が載った本を見つけます。

    フィルが『"1人の空間の秘密"をピーターに知られてしまったのではないか?』と秘密がばらされる不安や恐怖からピーターを丸め込もうとしてカウボーイとしてのあれこれを教え始めたのでしょうか?


    公式にもある「長年隠されてきた秘密」とは"フィルがゲイ"であることではないでしょうか。

    2022年の現代だからこそあらゆる性の多様性を認めることが出来るようになってきましたが、約100年前の1920年代にはゴリゴリに「男らしさ」「女らしさ」が求められていたと思うので尚更絶対バレてはいけない秘密だったのでしょう。

    一説によるとあの白い布はボロンコの匂いが残っていて、それを頼りにナニかをしているのでは?ということらしいです。真相は分かりませんが...

    でもずっと自分の股間にしまっていてボロンコの匂いは残るんでしょうか...?


    ピーターは「強い」?

    この辺りからピーターの印象も変わってきたように思います。

    ピーターも序盤はひょろっと頼りない印象でしたが、ストーリーが進むについて実は強かに計画を進める強い目をしている事が何度も見返した時に分かりました。
    ピーターの父が彼を「冷たい、強すぎる」と言ったのも今なら分かるかもしれません。

    炭疽菌で死んだ牛の皮を剥ぎ、フィルが兎を捕まえようとして時に手を怪我したことを確認して、剥いだ牛の皮を渡す流れは実はピーターの"計画通り"だったのではないか?と推察しています。


    牛の去勢も素手で行うのに炭疽菌で死んだ牛には近づくことすらしなかったほど炭疽菌に気を付けていたフィルが、炭疽菌が原因で急死したラストは驚きました。

    炭疽菌で死んだ牛にピーターがメスを入れるシーンは最初は「その牛で解剖練習しちゃだめだよ~」と思っていたのですが、ローズが勝手に原住民に牛の皮を譲ってしまって怒っているフィルに対してピーターが「生皮なら僕が持ってる」と言ったところで『あ~~~!!!』とピースが繋がってアハ体験をすることが出来ました。

    フィルは皆が答えられなかった山が何に見える?という問いに唯一ボロンコと同じ「吠えてる犬」という回答をしたピーターに運命か好意を感じていたのではないでしょうか。


    ピーターはそのフィルの自分に対する好意と自分だけが知っている"フィルはゲイである"という秘密を巧みに使ってフィルを地道に上手く罠にはめたように思えます。

    ロープを仕上げる晩に手が離せないフィルに自分も口を付けたタバコ?を吸わせていたピーターの目がやけに妖艶だったのも分かって誘っていたのでしょうか...


    ピーターがフィルを殺すように計画していた説が当たりだとして、そもそも何故ピーターはフィルを殺したのでしょうか?

    フィルの様々ないびりによりアルコール依存症になってしまった"母ローズを守るため"という理由が妥当でしょう。

    実際にピーターは「僕が母さんを守るから」と言っています。
    また冒頭の「父が死んだときー 僕は母の幸せだけを願った 僕が母を守らなければ 誰が守る?」というナレーションはピーターによるものです。


    ここからは完全に憶測なのですが、ピーターが母を守ったのはこれが初めてなのでしょうか?

    ピーターの父はアルコールに依存しており自殺したことが分かっています。
    アルコールで荒れる父から母を救う為に父が自殺するように仕向けたのだとしたら...?

    ピーターの父がピーターの事を「冷たく、強い」と言ったのはそういった面もあったからかもしれませんね...


    ローズとジョージと構成

    私の中でピーターの印象が強すぎるのですが、ローズとジョージからもあまりいい印象は受けませんでした。
    ローズがフィルにいびられているのを分かりながら1人家に置いて出張に行ってしまうところからジョージはローズの事を本当に愛していないのかなと感じました。

    個人的にローズの「(星に手は届かなくても)名前の横に(星を)書いたら手が届くわ」というセリフが作中で1番好きです。

    BGM、ちゃんと弾けないピアノ、くしの音、口笛と不穏な雰囲気を醸し出す音が多かった印象も強いです。
    後半のBGMはいつ人が殺されてもおかしくないような感じでしたね(笑)

    セリフも必要最小限で視聴者の想像をかき立てる作りだったように思います。

    タイトルの意味

    タイトルの「パワー・オブ・ザ・ドッグ」は旧約聖書詩篇第22編からの引用だとされています。

    「神よ、遠く離れないでください。 私をお救いください。 私の魂を剣の力から、 そして私の命を犬の力から助け出してください」


    ジェーン・カンピオン監督はインタビューの中で『犬の力』について「動物のような本能であり、性的で凶暴で、強く危険な情熱のようなもの」と表現したと語っています。


    https://www.moviecollection.jp/news/115682/www.moviecollection.jp


    つまり「男性性」「男性のエゴ」と言ってもいいのではないでしょうか。

    女性や原住民を軽視し他の男たちをまとめあげていた「男性性」の固まりのフィルがピーターに「男性性」を利用されて復讐するストーリーだったのではないでしょうか。

    ブロンコは山肌が『吠えてる犬』のように見えたというシーンもこの『犬の力』に関連付けているのでしょうか...


    Watch The Power of the Dog | Netflix Official Site

    まとめ

    アカデミー賞受賞作『パワー・オブ・ザ・ドッグ』、初見では不穏で難解な印象でしたが、何度も見返すと点と点が繋がったように分かって深みを感じた作品でした!
    改めて原作小説も読んでみたいです・

    最後まで読んでいただきありがとうございました。


    自己紹介

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    初めまして!映画超初心者レビュアーのじゃこです!

    『映画超初心者レビュアーじゃこ』、一体何者なんでしょうか...

    軽く自己紹介をしていきますね!

    ...「軽く」と言いながら長文になったのでど〜うしても暇な時にお読みください。

    プロフィール

    じゃこは20代女性です。
    主な趣味はアイドルマスターというアイドルゲームシリーズをプレイすること、アニメを欠かさずチェックすること、ホロライブというVtuberのアイドル事務所のタレント達の配信を毎日見ること です!

    - アイドルマスター

    アイドルマスターシリーズは今年の7月26日でアイマスの始祖・アーケード版が稼働してから17周年を迎える超大作アイドルゲームです!

    現在アイマスは「THE IDOLM@STER」、「THE IDOLM@STER シンデレラガールズ」、「THE IDOLM@STER ミリオンライブ!」、「THE IDOLM@STER SideM」、「THE IDOLM@STER シャイニーカラーズ」の5つのブランドから成り立っています。

    デレステ」「シャニマス」辺りは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

    アイマスは家庭用やアプリなどのゲームはもちろん、大量のCD展開、ライブ、アニメ、コミックス、フィギュア、あらゆる企業や官公庁とのコラボなど日々追い切れないほどメディア展開されています。
    私自身ほぼ毎月発表されているCDを5ブランド分追うのはとても大変です... (しかもアイマスはサブスク化されていない!)

    これ以上語るとガチで三日三晩続いてしまうのでまた次の機会にしますが、5ブランドの中でも特に私が推しているコンテンツ 「ミリオンライブ!」(通称:ミリマス)と「シャイニーカラーズ」(通称:シャニマス)をご紹介して終わります。

    ミリマスは私が約8年応援している1番推しのコンテンツです。現在は「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ(ミリシタ)」という音ゲーアプリのみですが、楽曲はアイマスシリーズの中ではゴリゴリに熱い体育会系ではないかなと思っています。

    私のアイマスシリーズ通しての担当アイドルは、北海道出身でアイドルの夢を叶えるため14歳で単身上京し日々努力している「木下ひなたちゃん」です!訛りと芯の強さ、時々見せるイケメン要素が売りです。

    音ゲーで豊富な楽曲とダンスを楽しみたいならミリシタをおすすめ!

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    出典 https://millionlive.idolmaster.jp/theaterdays/




    シャニマスはシナリオの質がとにかく良いです!
    美しくエモいシナリオだらけです。シャニマスは文学
    楽曲数はそれほど多くありませんが、1曲1曲がエモいです。
    また、カードイラストも美しいことで有名です。
    挑戦的な構図も多く、2022年4月現在カードイラストの画集が2冊販売されており、シナリオ集の発売も予定されています。
    美しいシナリオとカードイラストを楽しみたいならシャニマスをおすすめ!


    - アニメ

    アニメは女の子が多いゆるい日常系が特に好きです。
    けいおんゆるキャン△きんモザなどのきらら作品も好きです。

    - ホロライブ

    ホロライブは昨今様々な分野で話題になっています!
    オリコン1位も獲得した星街すいせいさんやゲーム実況で有名な兎田ぺこらさんの事務所です。
    先日幕張メッセで行われた全体ライブも大盛況でした!
    私は基本箱推しなのですがその中でもさくらみこ(みこち)さん、鷹嶺ルイさん(ルイ姉)、博衣こより(こよちゃん)さんを中心に推しています。
    毎日YouTubeで様々な配信をしているのでぜひ一度ご覧になってください!


    www.youtube.com

    www.youtube.com

    www.youtube.com


    長文語ってしまいましたが、"オタク"なんです...

    なぜ映画レビューを?

    元々映画はそこそこ好きなのですが、今までなかなか観る機会を設けることが出来ませんでした。
    毎年春になると新しいことを始めたくなる性分なのですが、今年も何か始めようと考えていたら登録するだけでほぼ使っていないNetflixが目に留まりました。

    「そうだ、映画を観よう。」

    思い立ったが吉日なので、その日から1日1本映画を観ていこうと決めました。
    感想を考えながら観ると、何も考えずに観ていた時に比べてきちんと頭の中で整理することが出来るのでレビューも書くことにしました。

    ただあくまで趣味なので忙しい日や見る気になれない日は無理せず休みます。

    好きな映画

    人生で今まで観てきた中で特に好きな映画は、
    恋は雨上がりのように』『さよならくちびる』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『愛がなんだ』『リップヴァンウィンクルの花嫁』などの邦画で、アンニュイな雰囲気があるミニシアター系が多いです。

    あと小松菜奈さんも好きみたいです...

    観たことがある映画についても今後レビューする予定です。

    上記のような好みなので洋画はほぼ観たことがありません。
    また、有名な監督さんやハリウッドスターもあまり知りません。
    なので『映画超初心者』と名乗っています。

    映画の知識がない二次元オタクがにわかからの目線でレビューしていきます!

    1日1本、邦画と洋画を交替で観ていきます。
    当日にFilmarksで簡単にレビューし、後日本ブログにまとめ直します。
    filmarks.com



    長くなってしまいましたが、超初心者が成長していく姿を暖かく見守っていただければ幸いです。

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    管理人:じゃこ